投稿者「Koichi」のアーカイブ

2022.10.6. “Composition-tunable magnon-polaron anomalies in spin Seebeck effects in epitaxial BixY3-xFe5O12 films”がPhysical Review Materialsに掲載されました。

本研究では、スピンゼーベック効果を用いて、磁性絶縁体中のマグノンとフォノンの混成粒子”マグノン-ポーラロン”が高効率に生じる磁場値が元素置換によって変調できることを明らかにしました。本論文は、Physical Review Materials誌のEditors’ Suggestionに選ばれました。

本研究は東京大学工学部齊藤研究室との共同研究です。

T. Kikkawa, K. Oyanagi, T. Hioki, M. Ishida, Z. Qiu, R. Ramos, Y. Hashimoto, and Eiji Saitoh
“Composition-tunable magnon-polaron anomalies in spin Seebeck effects in epitaxial BixY3-xFe5O12 films”
Physical Review Materials 6, 104402 (2022).
DOI: https://doi.org/10.1103/PhysRevMaterials.6.104402
arXiv: https://arxiv.org/abs/2210.03346

2022.8.8. “Anomalous Ettingshausen effect in iron-carbon alloys”がApplied Physics Lettersに掲載されました。

本研究では、市販品の鉄-炭素合金である鋳鉄が、純鉄に比べて大きな横型磁気熱電効果を示すことを明らかにしました。さらに、無次元性能指数を評価すると、純鉄に比べ540%向上していることがわかりました。これらの成果は、鉄鋼材料を磁気熱電材料に用いることができる可能性を示しており、今後の材料開発に貢献すると期待されます。

本研究は物質・材料研究機構スピンエネルギーグループとの共同研究です。

R. Nagasawa, K. Oyanagi, T. Hirai, R. Modak, S. Kobayashi, and K. Uchida,
“Anomalous Ettingshausen effect in iron-carbon alloys”
Applied Physics Letters 121, 062401 (2022).
doi: https://doi.org/10.1063/5.0103248
arXiv: https://arxiv.org/abs/2206.07322

2022.7.12. 18th International Conference on X-Ray Absorption Fine Structureで招待講演をしました。

7月7日から15日の間にオーストラリア/オンラインハイブリッドで開催された18th International Conference on X-Ray Absorption Fine Structure (XAFS) において招待講演を行いました。
発表は現地時間7月12日で、タイトルは「Paramagnetic Spintronics」です。
Web page: https://xafs2022.org/

2022.6.9. 論文がNature Communications誌に掲載されました。

本研究では、量子力学的な干渉を解読する AI を開発し、電気抵抗の情報だ けから金属内部の微細な構造を復元することに成功しました。近年の目覚ましい発展 により、AI が人知を超える精度でデータを認識できることに着目し、量子干渉の解読に特化し た AI を開発しました。開発した AI は一見ランダムに見える電気抵抗の変化に法則性を見出 し、電気抵抗のデータだけから金属内部のミクロな構造、ひいては量子力学的な干渉の情報を 引き出すことができます。

S. Daimon, K. Tsunekawa, S. Kawakami, T. Kikkawa, R. Ramos. K. Oyanagi, T. Ohtsuki, and E. Saitoh,
“Deciphering quantum fingerprints in electric conductance”
Nature Communications 13, 3160 (2022).

2021.10.25. 論文がPhysical Review B 誌に掲載されました。

常磁性絶縁体におけるスピンホール磁気抵抗効果を観測しました。これまで長距離磁気秩序のある系に限られると思われていたスピンホール磁気抵抗効果が磁気秩序のない常磁性絶縁体においても発現することを見出しました。
さらにこれまで未知であった常磁性絶縁体と金属の接合界面でのスピン輸送のメカニズムを明らかにしました。本研究によって常磁性絶縁体を用いたスピントロニクス研究が発展すると期待されます。
本研究は東京大学工学部齊藤研究室との共同研究です。

Koichi Oyanagi, Juan M. Gomez-Perez, Xian-Peng Zhang, Takashi Kikkawa, Yao Chen, Edurne Sagasta, Andrey Chuvilin, Luis E. Hueso, Vitaly N. Golovach, F. Sebastian Bergeret, Fèlix Casanova, and Eiji Saitoh
“Paramagnetic spin Hall magnetoresistance”
Physical Review B 104, 134428 (2021).
URL: https://journals.aps.org/prb/abstract/10.1103/PhysRevB.104.134428

2021.10.18. NIMS 内田健一グループリーダーが訪問されました。

物質・材料研究機構(NIMS)の磁性・スピントロニクス材料研究拠点スピンエネルギーグループの内田健一グループリーダーに岩手大学へお越しいただきました。

それにあわせて本学において「スピントロニクス入門」というタイトルで講演していただきました。講演では、スピントロニクスの基礎から最新の研究動向までを大変わかりやすく教えていただきました。本講演会は学部4年生の特別研修の対象に指定されました。
当グループでは内田グループリーダーとNIMS連携拠点制度を利用した共同研究を行っています。ご興味のある方は、大柳(oyanagi@iwate-u.ac.jp)までお問い合わせください。

2021.8.31 論文がNature Communications誌に掲載されました。

「量子スピン系」と呼ばれる物質群の中の「ダイマースピン系」と呼ばれる物質群において、トリプロンがスピン流の担い手となることがわかりました。
本研究によって、スピン流を活用できる物質がさらに拡張され、スピントロニクスの研究にさらに促進されることが期待されます。
本研究は東京大学工学部齊藤研究室との共同研究です。
研究の詳細はプレスリリースをご覧ください。

プレスリリース
https://www.iwate-u.ac.jp/cat-research/2021/08/004331.html

Yao Chen, Masahiro Sato, Yifei Tang, Yuki Shiomi, Koichi Oyanagi, Takatsugu Masuda, Yusuke Nambu, Masaki Fujita, Eiji Saitoh
“Triplon current generation in solids”
Nature Communications 12, 5199 (2021).
URL:https://www.nature.com/articles/s41467-021-25494-7

2021.7.25. 論文がNature Communications誌に掲載されました。

物質中の原子核がもつ自転の性質である「核スピン」を利用した新しい熱電変換現象を実証しました。核スピンは、電子の動きが完全に凍結する絶対零度(?273.15℃)付近の超低温域でも、電子に比べて極めて小さなエネルギーで熱揺らぎをしています。この熱揺らぎをスピントロニクス技術を利用することで電力に変換することに成功しました。この発見により、200年間、電子制御に限られていた熱電変換に原子核スピンの概念が加わり、絶対零度に迫る超低温まで応用可能な新しい熱電変換分野の扉が開かれました。
本研究は東京大学工学部齊藤研究室との共同研究です。
研究の詳細はプレスリリースをご覧ください。

プレスリリース
https://www.iwate-u.ac.jp/cat-research/2021/07/004262.html

T. Kikkawa, D. Reitz, H. Ito, T. Makiuchi, T. Sugimoto, K. Tsunekawa, S. Daimon, K. Oyanagi, R. Ramos, S. Takahashi, Y. Shiomi, Y. Tserkovnyak, and E. Saitoh
“Observation of nuclear-spin Seebeck effect”
Nature Communications 12, 4356 (2021).