2021.7.25. 論文がNature Communications誌に掲載されました。

物質中の原子核がもつ自転の性質である「核スピン」を利用した新しい熱電変換現象を実証しました。核スピンは、電子の動きが完全に凍結する絶対零度(?273.15℃)付近の超低温域でも、電子に比べて極めて小さなエネルギーで熱揺らぎをしています。この熱揺らぎをスピントロニクス技術を利用することで電力に変換することに成功しました。この発見により、200年間、電子制御に限られていた熱電変換に原子核スピンの概念が加わり、絶対零度に迫る超低温まで応用可能な新しい熱電変換分野の扉が開かれました。
本研究は東京大学工学部齊藤研究室との共同研究です。
研究の詳細はプレスリリースをご覧ください。

プレスリリース
https://www.iwate-u.ac.jp/cat-research/2021/07/004262.html

T. Kikkawa, D. Reitz, H. Ito, T. Makiuchi, T. Sugimoto, K. Tsunekawa, S. Daimon, K. Oyanagi, R. Ramos, S. Takahashi, Y. Shiomi, Y. Tserkovnyak, and E. Saitoh
“Observation of nuclear-spin Seebeck effect”
Nature Communications 12, 4356 (2021).