2025.1.20. 論文をarXivに投稿しました。

修士学生だった高森健太さんの成果をまとめた論文 “Simultaneous achievement of large anomalous Nernst effect and reduced thermal conductivity in sintered polycrystalline topological Heusler ferromagnets” をarXivで公開しました。
本研究では、電子バンドのトポロジカルな性質に起因し大きな異常ネルンスト効果を示すCo₂MnGa (CMG) 合金を焼結法で作製し、その電気・熱輸送特性を評価しました。その結果、巨大な異常ネルンスト係数を保持しつつ、フォノン散乱を増大させることで熱伝導率を低下させることに成功しました。これにより焼結条件を最適化したCMGにおいて異常ネルンスト効果の無次元性能指数が室温で世界最高値を示すことを明らかにしました。
さらに、TEMを用いた微細構造の観察とフォノンの第一原理計算を組み合わせた結果、数十ナノメートルスケールの結晶相境界でのフォノン散乱が熱伝導率の低下を引き起こしていることが示唆されました。本研究は従来の熱電材料で用いられていた性能指数向上のための材料合成指針が、磁気熱電材料の合成においても有効であることを示しています。この成果は、今後の磁気熱電材料の開発に貢献する重要な知見です。

本研究は、NIMS内田G, Sepehri-Amin G, 只野G, 桜庭Gとの共同研究です。

K. Oyanagi, H. Sepehri-Amin, K. Takamori, T. Tadano, T. Imamura, R. Nagasawa, K. Mahalingam, T. Hirai, F. Ando, Y. Sakuraba, S. Kobayashi, and K. Uchida,
“Simultaneous achievement of large anomalous Nernst effect and reduced thermal conductivity in sintered polycrystalline topological Heusler ferromagnets”
arXiv: http://arxiv.org/abs/2501.09965